2022年7月14日

Z世代の”トリセツ”

 

「最近の若者は~」とつい口に出してしまう人事担当者も多いかと思いますが、生きてきた時代背景が異なるので、世代によって価値観も変わってきているでしょう。今回は「Z世代」と呼ばれる「今時の20代」について考察してみました。

世代の呼び名について

元々はアメリカから伝わった世代分類を指す言葉で、「ジェネレーションZ」から派生し、「Gen Z(ジェネジー)」「Z(ゼット)世代」とも呼ばれます。

アメリカでは、1960年〜1974年生まれを「X世代」と名付けたことからスタートして、1975〜1990年代前半生まれを「Y世代」、時期が重なりますが1983~1995年前後に生まれを「ミレニアル世代」、1990年代後半〜2010年初頭の生まれを「Z世代」、2013年以降の生まれを「α世代」と呼ぶようになりました。

一方で日本では、1965年~1971年生まれを「バブル世代」、1971年~1974年生まれを「団塊ジュニア世代」、1971年~1981年生まれを「氷河期世代」、1982年~1987年生まれを「キレる17歳世代」、1987年~1995年を「ゆとり世代」、1987年~2004年を「さとり世代」、2001年~2014年生まれを「コロナ世代」などと、様々な世代の呼び名があります。ただし、これらの分類は厳密に年代が決められておらず、諸説あります。

Z世代に注目が集まる理由

Z世代は2020年時点で世界人口の約3分の1を占めており、ミレニアル世代を上回ります。そのため、世界的には今後の消費者として経済を動かす主役になると考えられており、注目を集めています。

一方で少子高齢化が進んだ日本では、Z世代の人口は総人口の13.9%にとどまっています。しかし日本においては、Z世代のインフルエンサーのSNS投稿やシェアされた情報を見て商品を購入することも多いため、「消費者」だけでなく「媒介者」の役割も果たす貴重な役割として期待されている世代として注目が集まっています。

Z世代が育ってきた社会背景

Z世代が育ってきた社会背景を振り返ってみると、インターネットが普及した環境に生まれ、TwitterやFacebook等のSNSが普及したのが2006年頃なので、幼少期からスマートフォンやSNSを当たり前のように使いこなすソーシャルネイティブであるとの同時に、不況や災害など様々な局面を経験しています。アメリカの同時多発テロ(2001年)からはじまり、リーマンショック(2008年)や東日本大震災(2011年)、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(2020年)といったように、大きな社会情勢の変化に多くさらされています。こうした背景を持つZ世代の根底にあるのは 「先行きが不安定な時代の中で暮らしている」ということです。

Z世代の7つの特徴

1)デジタルネイティブ

生まれたときから、インターネットが利用可能な、いわゆるデジタルネイティブの始まりの世代といわれ、スマホを日常的に使いこなし、SNSにも親しんできたことから、ソーシャルメディアでのコミュニティ形成を重視する特徴があります。また、不明点は上司に質問する前に「まずはインターネットやSNS上で検索」する習慣もあるため、「分かったつもり」になるケースも多いかもしれません。スマホを活用して日常的に情報収集や買い物などを行っているため、「テレビの視聴時間よりもインターネットの利用時間の方が長い」「そもそも自宅にテレビがない」「パソコンの操作にはあまり慣れていない」ことも多いです。

2)消費の傾向

不況を肌で感じながら成長してきたZ世代は、保守的で現実主義な面があります。ハイブランドへの憧れよりも、コストパフォーマンスや実用性を重視して商品やサービスを選び、「モノ(商品)」よりも「コト(サービス・経験・体験)」に価値を感じる傾向があり、体験したことを仲間とSNSなどで共有することを好みます。例えば「車(モノ)を所有すること」には価値を感じない傾向があるため、若者のマイカー離れやカーシェアリングなどの消費動向が特徴的でしょう。よって、「ボーナスで何が欲しい?」と問うのではなく「ボーナスで何をしたい?」と問う方がZ世代には受け入れやすいのかもしれません。

3)個人主義・自由な働き方を好む

Z世代は、先行きが不安定な時代の中で暮らしていることから、1つの会社にとらわれず、副業、転職に対して肯定的に捉え、ジョブ型雇用を導入している企業への就職を選択し、チームの成長よりかは個人のスキルを磨いていくことを重要視する傾向があります。まずは自分のスキルを身につけることが、万が一会社や社会に何かあった時のリスクヘッジになると捉えているためです。

4)共感と多様性

SNSなどを活用した情報収集や発信に熱心な世代なので、自分が発信した情報を他者と共有したり、多様性を認める姿勢や、協調性が高い傾向にあると言われています。また、世間に与える影響力が大きい行動を行う「インフルエンサー」が発信する情報に影響を受けやすい傾向があります。

5)競争よりも自己実現や社会貢献

他者との競争よりも、お互いに助けあったり個性を尊重しあうなど、周囲との調和を重視し多様性を認める姿勢が目立ち、自己実現や社会貢献に対する欲求が高いという特徴もあります。

6)効率性を重視

デジタルネイティブで効率性を重視するZ世代は、業務効率化を意識した会社に好感を持ちやすいとも言えます。そのため、非生産的な会議や非効率的な業務による残業、業務時間外に長時間拘束される飲み会などがあまり好まれないケースもあります。デジタルデバイスやクラウドツールどを活用した効率的に仕事ができる環境を整えるとZ世代には受け入れやすいでしょう。

7)オープンでフラットなコミュニケーション

Z世代には、一方的に指示を出すのではなく、しっかりと対話を重視したコミュニケーションを取りながら個々の個性や能力を伸ばしていくことが重要です。Z世代は日常的に多様な情報を収集し、自分の考えをオープンにすることに慣れているため、同じ目線に立って意見を求めることで、斬新なアイデアを得られるかもしれません。自分の考えを理解してもらうことで、自己肯定感も高まり仕事へのモチベーションの向上にもつながるため、オープンでフラットなコミュニケーションを積極的に行うことで、Z世代が活躍できる組織につながるでしょう。

まとめ

Z世代は先行きが不安定な時代の中で暮らしている社会的背景から、個人差がありますが、複数の仕事を掛け持ちしながら、キャリアアップを求めて多種多様な経験を積み、状況によっては職を変え、長期的視点でキャリアパスを構成していくことを前提として働くため、企業への帰属意識が低いといえるでしょう。また、「承認欲求が強い」「自分らしさを大切にする個人主義」といった傾向があるため、ワークライフバランスが整いやすい社内体制の整備や副業の解禁、業務効率化、SNSを活用した採用活動を行っている企業が支持されやすいといえるでしょう。育成に関しても、トップダウンで会社の価値観を押し付けるのではなく、オープンでフラットなコミュニケーションやマネジメントを心がけ、Z世代の強みを活かせる組織を目指しましょう。

20代が活躍できる場をつくるのは、我々30代以上の社員の役割です。Z世代に対して、「自分とは異なる理解できない世代」と拒絶するのではなく、Z世代が育った時代背景も踏まえて社会の変化に順応していくことで強い組織が作れるでしょう。

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