はじめに
🌀「また同じような面接をして、また同じような採用をして…」
そんなマンネリを感じている人事担当者の方はいませんか。採用の手法は、実は会社の個性を映す鏡でもあります。世界に目を向けると、「そんな方法で採用するの?」と思わず二度見してしまうような、個性的な選考事例が数多くあります。
笑えるものも、感心するものも、ちゃっかり参考にしたくなるものも。
今回は、海外の名だたる企業が実際に行ってきたユニークな採用方法を紹介します。
「うちでも取り入れられるかも」と感じるヒントがきっと見つかるはずです。
【事例①】Google|難問クイズで候補者を試した…が、やめた話

かつてGoogleは、採用面接で
「スクールバスにゴルフボールは何個入るか?」「マンホールの蓋が丸い理由は?」といった、
いわゆる“ブレインティーザー(頭の体操系難問)”を候補者に出題していました。
答えに正解・不正解があるわけではなく、思考プロセスを見る意図だったとされています。
ところが、Googleは後にこのアプローチをきっぱりやめました。
自社データを徹底分析した結果、ブレインティーザーの出来と入社後のパフォーマンスの間には、まったく相関関係がなかったことが判明したからです。
現在のGoogleは、行動面接(過去の実体験を聞く)と状況面接(仮説的なシナリオへの対応を聞く)を
中心に据えており、面接回数についても分析を重ねた結果、4回が最適という結論に至っています。
日本の人事担当者へのヒント:
「変わった質問をすれば本質が見える」は思い込みかもしれません。
Googleのように自社の選考データを振り返り、「この選考ステップは本当に必要か?」と問い直すことが、採用の質を上げる近道になることもあります。
【事例②】Zappos|「辞めたければお金を払います」という逆転の発想

アメリカのオンラインシューズ販売会社Zapposが行っていた「ザ・オファー」は、採用業界の語り草です。
新入社員向けの4週間の集中研修が始まって約1週間後、
Zapposは新入社員に対して「今日辞めるなら、これまでの給与に加えて2,000ドルを支払います」と伝えます。
いわば「辞退のご褒美」です。
なぜそんなことをするのか。狙いは、Zapposの文化に合わない人材に早期に退出してもらうことで、
お互いのミスマッチをできるだけ早く解消することにあります。
実際に申し出を受け入れた人は全体の3%未満にとどまっており、残った社員は強い意志を持って働き続けることができます。
このオファーはもともと100ドルから始まり、その後段階的に引き上げられていきました。
「お金をもらっても辞めない」という選択をした社員が集まることで、組織全体のエンゲージメントが高まるという仕組みです。
日本の人事担当者へのヒント:
ミスマッチによる早期退職は、企業にとって大きなコストです。
入社後のオンボーディング期間中に「本当にここで働き続けたいか」を
候補者自身に問う機会を作ることは、長期的な定着率向上につながるかもしれません。
【事例③】IKEA|家具の箱の中に求人票を忍ばせる

スウェーデン発の家具ブランドIKEAが以前行った採用施策は、シンプルかつ発想力が光るものでした。
IKEAは顧客が購入した家具のパッケージの中に求人広告を同封し、日頃からIKEAを愛用しているファン層の中から採用を行いました。
ブランドへの愛着がある人材を確保できるだけでなく、広報コストもかからないという一石二鳥の施策です。
「IKEAが好きで、商品を買って、箱を開けたら求人票が入っていた」という候補者は、すでにブランドへの理解と愛着を持っています。
入社後のミスマッチが起きにくく、即戦力として活躍できる可能性も高いという、非常に合理的な発想です。
日本の人事担当者へのヒント:
「自社のファンを採用する」という発想は、規模に関わらず応用できます。
自社サービスの利用者や、SNSのフォロワーに向けて採用情報を発信することも、
IKEAの発想と本質的には同じです。
【事例④】Volkswagen(フォルクスワーゲン)|整備士を探すなら、車の下に求人を置く

ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンが整備士を採用した方法も秀逸です。
フォルクスワーゲンは自動車整備工場を訪問し、車体の下に求人広告の看板を置くという方法を取りました。
整備士が作業中に車の下を覗いた瞬間に求人情報が目に入る仕組みで、広告費をかけずにターゲットへ直接アプローチできる効率的な手法です。
「整備士に会いたければ、整備士がいる場所に行く」という至ってシンプルな発想ですが、これほどターゲットを絞ったアプローチはなかなかありません。
日本の人事担当者へのヒント:
採用したいターゲットが「どこにいるか」「何をしているか」を考えると、
求人媒体以外にもアプローチ方法が見えてきます。
特定の職種や技術を持つ人材を採用したいなら、その人たちが集まるイベント・コミュニティ・オンラインのグループに直接アプローチするのも一つの手です。
【事例⑤】Netflix|「キーパーテスト」で採用基準を逆算する

Netflixの採用で有名なのが、「キーパーテスト(Keeper Test)」という考え方です。
Netflixは「優秀なチームを作ること」を採用の最優先事項としており、
マネージャーに対して「もしこのメンバーが競合他社に転職すると言ったとき、引き留めようとするか?」という問いを常に意識させています。
「引き留めない」という答えが出るメンバーは、早めにチームを離れてもらい、その分のポジションに本当に優秀な人材を採用するという考え方です。
この発想は採用にも応用されており、「今いるチームに加わったとき、チーム全体のレベルが上がるか」を採用基準の軸に置いています。採用面接でも、単なるスキルチェックにとどまらず、チームへの貢献可能性を多面的に評価する文化が根づいています。
日本の人事担当者へのヒント:
「欠員補充」ではなく「チームの底上げ」という観点で採用基準を見直してみると、求める人物像の解像度が上がることがあります。
【事例⑥】日本交通|タクシー業界のイメージを変えたオーディション採用

せっかくなので、日本の事例もひとつ。
日本交通は「全国オーディション採用」を実施し、従来の面接方式ではなく、応募者が自由な形式で自己PRを行うオーディション形式を採用しました。
この取り組みにより、「若者が入社したがらない」というタクシー業界のイメージを刷新し、若手人材の積極的な採用に成功しています。
「タクシー会社がオーディション?」という意外性が話題を呼び、メディアへの露出にもつながったとされています。採用手法そのものが、採用広報として機能した好例です。
日本の人事担当者へのヒント:
業界のネガティブイメージを逆手にとって話題を作ることができます。
「うちの業界は人気がないから…」と諦める前に、その固定観念を覆すような採用演出を考えてみるのも一手です。
これらの事例から学べる3つの共通点

一見バラバラに見えるこれらの事例ですが、よく観察すると共通している点があります。
① 採用手法が会社の文化・価値観を体現している
Zapposの「辞退ボーナス」はカルチャーフィットへのこだわりの表れ、
IKEAの「パッケージ求人」はファンマーケティングの延長。
どれも「うちらしさ」が採用手法ににじみ出ています。
② ターゲットの行動から逆算して設計されている
フォルクスワーゲンが整備工場に乗り込んだように、「採用したい人はどこにいるか」から考えると、アプローチ方法の選択肢が広がります。
③ 採用活動が採用広報を兼ねている
ユニークな採用手法はそれ自体が話題になり、メディア露出や口コミを生みます。
「採用しながらブランドを育てる」という視点は、予算が限られた企業にとっても参考になります。
まとめ

世界の企業の採用事例を見ると、「面接・履歴書・選考」という枠にとどまらない、多様なアプローチがあることがわかります。
どれも奇をてらっているわけではなく、「自社に合った人材をどうすれば出会えるか」という問いへの真剣な答えの結果です。
「うちは中小企業だから、大手みたいなことはできない」と思う必要はありません。
IKEAの「パッケージ求人」も、フォルクスワーゲンの「車の下に看板」も、発想はいたってシンプルです。
大切なのは予算ではなく、「自社らしさ」と「ターゲットへの解像度」です。
採用に行き詰まりを感じているなら、今日紹介した事例をヒントに、「うちらしい採用手法」を一つ考えてみてはいかがでしょうか。

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