離職率を下げるために会社ができること10選採用より大切な「定着」について

採用ノウハウ

はじめに

「せっかく採用したのに、また辞めてしまった😭」

採用活動に時間とお金をかけ、ようやく迎え入れた社員が短期間で退職する
——この繰り返しに疲弊している人事担当者の方は少なくありません。

厚生労働省の調査によると、
新規大卒就職者の3年以内離職率は近年3割程度で推移しており、おおよそ3人に1人が3年以内に辞めている計算になります。
また、リクルートマネジメントソリューションズが2026年に実施した「若手の離職実態調査2026」では、
社会人1〜3年目の若手社員の在職者のうち62.2%が「会社を辞めたいと思ったことがある」と回答しています。

こうした数字を見ると、「採用をうまくやらなければ」という発想になりがちですが、
本当に見直すべきは採用の後——「定着」の仕組みかもしれません。

どれだけ優秀な人材を採用しても、定着の仕組みがなければ人は出ていきます。
逆に、定着の仕組みが整っている会社は採用コストを抑えながら、組織の力を着実に高めることができます。

本記事では、離職率を下げるために会社が今すぐ取り組める施策を10個、具体的に解説します。

なぜ社員は辞めるのか?離職の本音を知る

対策の前に、まず離職の根本原因を理解することが重要です。

リクルートマネジメントソリューションズの「若手の離職実態調査2026」によると、
若手社員が辞めたいと思った理由の

1位は「仕事にやりがい・意義を感じない」(21.8%)
2位「給与水準が満足できない」(19.5%)
3位「自分のやりたい仕事ができない」(14.1%)
という結果でした。

同調査でさらに注目すべきなのは、実際の離職理由として「給与への不満」よりも
「仕事で自分の能力や持ち味を発揮できない」という項目が前回調査(2023年)から大きく上昇している点です。

Z世代を中心とした若手社員は「成長できる環境かどうか」「能力を発揮できるかどうか」を非常に重視しており、それが満たされないと感じたときに離職を検討し始める傾向が強まっています。

また、同調査では「上司との仕事の進め方の相性が職場定着に影響する」という結果も示されており、
入社後の環境・関係性・文化づくりが定着を大きく左右することがわかります。

離職率を下げる10の施策

施策① 丁寧なオンボーディングを設計する

離職が最も多いのは入社後の3ヶ月以内です。
この時期に「ここにいていいんだ」という安心感を持ってもらえるかどうかが、その後の定着を大きく左右します。

よくある失敗は「初日にパソコンを渡して終わり」「マニュアルを渡してあとは自分で」という放任スタイルです。
初期のフォローが薄いと、新入社員は「この会社は自分に関心がないのかな」という孤独感を覚えます。

💡取り組みのポイント💡
・入社前に配属部署のメンバーへ紹介メールを送る
・入社初日のスケジュールをあらかじめ組んでおく
・最初の1ヶ月間の業務計画と目標を明確にする
・週次で上司または人事が声をかける機会を設ける

施策② メンター制度を導入する

直属の上司とは別に、相談しやすい先輩社員を「メンター」として設ける制度です。
上司には言いにくい悩みや不安を、同じ目線で話せる先輩に打ち明けられる環境が、早期離職を防ぐ大きな安全網になります。

「メンター制度なんて大企業がやること」と思う方もいますが、社
員が10名以下のスタートアップでも、「この人に相談していいよ」という関係性を明示するだけで十分機能します。

💡取り組みのポイント💡
・年齢・職種が近い社員をメンターに選ぶ
・月1〜2回程度の面談を目安にする
・メンター自身へのフォローも忘れずに行う

施策③ 1on1ミーティングを習慣化する

上司と部下が週次または隔週で1対1で話す「1on1ミーティング」は、定着率向上に効果的な施策のひとつとして広く知られています。

大切なのは「業務の進捗確認」だけで終わらせないことです。
仕事の悩み・キャリアの不安・プライベートの変化など、パフォーマンスに影響するあらゆることを気軽に話せる場として設計することが、1on1を機能させるコツです。

💡取り組みのポイント💡
・頻度は週次または隔週で、30分程度を目安にする
・議題は部下が主体的に設定する(上司主導にしない)
・「話してよかった」と感じてもらえる雰囲気づくりを意識する

施策④ 評価制度を「見える化」する

「頑張っているのに評価されている気がしない」という不満は、離職の大きなきっかけになります。
評価基準があいまいだと、社員は「何をすれば認められるのかわからない」という閉塞感を抱えることになります。

大きな人事制度改革は難しくても、「何をどう評価されるか」を言語化して社員に開示するだけで、不満の温度は大きく変わります。

💡取り組みのポイント💡
・評価基準を文書化し、全員に共有する
・評価結果だけでなく、評価理由をフィードバックする
・半期ごとに目標設定・中間確認・期末評価のサイクルを回す

施策⑤ キャリアパスを示す

若手社員が「この会社にいる意味があるか」を判断するとき、
最も影響するのが「将来のキャリアイメージが見えるかどうか」です。

「やりたい仕事ができない」という離職理由の多くは、
必ずしも「その仕事を今やらせてもらえない」ということではなく、
「いつかやれるようになるイメージが持てない」という将来への不透明感から来ています。

💡取り組みのポイント💡
・職種・年次ごとのキャリアパスを文書化して共有する
・「3年後にこんなポジションがある」という具体的な道筋を示す
・年に一度、本人が希望するキャリア方向を確認するキャリア面談を設ける

施策⑥ 成長できる環境・機会を整える

「若手の離職実態調査2026」では、
若手社員が上司に期待することとして「能力向上につながる丁寧な指導」が上位に挙がっています。
「成長実感」が得られないことが離職につながるという傾向は年々強まっており、
「育ててくれる会社かどうか」が定着を左右する重要な要素になっています。

給与や待遇をすぐには改善できない場合でも、学習・成長の機会を提供することで定着率を高めることができます。

💡取り組みのポイント💡
・資格取得支援・書籍購入補助など学習機会を整備する
・社外のセミナー・勉強会への参加を会社として奨励する
・新しい業務・プロジェクトへの挑戦機会を意図的に作る

施策⑦ 働き方の柔軟性を高める

「働き方が合わない」という理由による離職は、給与や人間関係と並ぶ主要な離職原因のひとつです。
特にコロナ禍を経てリモートワークを経験した層は、「フル出社・長時間労働」という環境への抵抗感が以前より強くなっています。

全員にリモートワークを許可する必要はありませんが、「フレックスタイム」「週1リモート」「時短勤務」など、ライフステージの変化に対応できる柔軟な制度がひとつでもあると、定着率に差が出ます。

💡取り組みのポイント💡
・フレックスタイム制・裁量労働制など柔軟な勤務形態を検討する
・育児・介護などライフイベントに対応した制度を整備する
・残業の実態を把握し、恒常的な長時間労働を改善する

施策⑧ 職場の人間関係・心理的安全性を高める

「若手の離職実態調査2026」では、「上司との仕事の進め方の相性が職場定着に影響する」という結果が示されています。

「心理的安全性」とは、失敗や意見の相違を恐れずに発言・行動できる職場環境のことです。
これが低い職場では、社員が本音を言えず、悩みを抱えたまま限界まで我慢して突然退職するケースが起きやすくなります。

💡取り組みのポイント💡
・管理職向けに1on1・フィードバックのトレーニングを行う
・「ミスを責めない」文化を経営者・マネージャーが率先して示す
・部署をまたいだ交流機会(ランチ会・社内イベントなど)を定期的に設ける

施策⑨ 退職理由を分析し、改善につなげる

退職者が出たとき、ただ見送るだけでなく、退職の理由を丁寧にヒアリングし、次に活かすことが重要です。
退職面談(エグジットインタビュー)は、会社が気づけていない課題を教えてもらえる貴重な機会です。

ただし、直属の上司が面談すると本音が出にくいことがあります。
人事担当者や外部のカウンセラーが対応するほうが、率直な意見を聞ける可能性が高まります。

💡取り組みのポイント💡
・退職者全員に退職理由をヒアリングする仕組みを作る
・面談担当者は直属の上司以外(人事担当者や第三者)が行う
・ヒアリング内容を蓄積し、複数名に共通するパターンを分析する
・分析結果を組織改善に反映し、次の離職防止につなげる

施策⑩ 採用段階でのミスマッチを減らす

離職防止の話でありながら、最後の施策は「採用」に戻ります。
なぜなら、定着率の問題の多くは採用段階でのミスマッチが根本にあるからです。

「仕事内容が聞いていたのと違う🌀」「社風が合わなかった❌」「残業の実態を知らなかった😭」
——これらは入社後に発覚する情報のギャップから来ています。
求人票や面接で「良い面だけ」を伝えすぎると、入社後のギャップが大きくなり、早期離職につながります。

RJP(Realistic Job Preview=現実的な職務予告)という考え方があります。
良い面だけでなく、業務の大変さ・課題・職場の実態もあらかじめ正直に伝えることで、「それでも入りたい」と思ってくれた人材が長く活躍してくれるという考え方です。

💡取り組みのポイント💡
・求人票に「大変なこと」「入社後に感じるギャップになりやすいこと」も記載する
・カジュアル面談や職場見学で、リアルな職場環境を見てもらう機会を作る
・入社前に業務内容・評価制度・職場環境について丁寧に説明しておく

10の施策、どこから始めるか

「全部一度にやろう」とすると、どれも中途半端になりがちです。
以下の優先度を参考に、自社の課題に合ったものから取り組んでみてください。

🔽すぐに始められる(コスト・工数が少ない)
・施策③ 1on1ミーティングの習慣化
・施策④ 評価制度の見える化
・施策⑨ 退職理由のヒアリング

🔽効果が大きい(定着率への影響が高い)
・施策① 丁寧なオンボーディング
・施策② メンター制度の導入
・施策⑤ キャリアパスの提示

🔽中長期的に取り組む(文化・制度づくり)
・施策⑥ 成長できる環境の整備
・施策⑦ 働き方の柔軟性
・施策⑧ 心理的安全性の向上
・施策⑩ 採用段階でのミスマッチ解消

まとめ

採用にかけたコストを活かすも殺すも、入社後の環境次第です。
定着率を高めることは、採用コストの削減・組織の生産性向上・採用ブランドの強化にも直結します。

本記事でご紹介した10の施策をまとめます。

1.丁寧なオンボーディングを設計する
2.メンター制度を導入する
3.1on1ミーティングを習慣化する
4.評価制度を「見える化」する
5.キャリアパスを示す
6.成長できる環境・機会を整える
7.働き方の柔軟性を高める
8.職場の人間関係・心理的安全性を高める
9.退職理由を分析し、改善につなげる
10.採用段階でのミスマッチを減らす

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